最果ての月に吠える
通話キーを押してから、彼が出るまで、それほど長い時間ではなかった。





ただ、その間の心臓の鼓動がいつになく早くて、永遠のように感じられたなんて比喩がよくあるけど、そんなのは嘘だと思った。





恋することは決して美しいことばかりなんかじゃない。





相手や他人を恨んだり、妬んだりする。





恋は、愚かだ。





そんな気持ちがまだ私にもある。





だから私は愚かだ。





でもそれ以上に、愛しい。





「もしもし?」





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