最果ての月に吠える
「先輩、ごめんね………」





私は立ち上がって車イスの彼を抱き締める。





「―――ありがとう」





―――壊してしまいたい。





報われないこんな恋なんて、粉々になって消えてしまえばいい。





心の中の少女が叫ぶ。





「先輩、しよ?」





私は返事も聞かずにキスをした。





彼の奥底にある欲情を呼び起こすように、私は深く激しいキスをした。





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