最果ての月に吠える
壊してしまいたい。





私も、このヒトも、世界も、全部、なくなってしまえ。





私は頭の中で響く言葉に突き動かされるように、先輩の首に手をかける。





二人のリズムと呼吸が重なるたび、力を込めて首を絞めた。





そして絶頂に達すると私の中に放たれた彼の熱い体液が全身に優しい麻痺(マヒ)を引き起こし、力尽きた私は先輩の胸の上に倒れ込んだ。





固く目を閉じていた彼は咳き込みながら、





「……トモエ……」





と呟く。





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