最果ての月に吠える
全ての生き物には、波がある。





海が引いては満ちるように、ヒトのバイオリズムも浮いては沈む。





昨日の夜、私のリズムは深海の底まで沈んでいた。





それが彼の首を絞めるというカタチで現れた。





「リューネは、オレを殺したいかい?」





彼の会話には脈絡がない。





それは他のヒトからすれば不思議なことだろうが、彼の中では成立した話なのだ。





私はそれから逃げない。





きっと今までなら当たり障りのない言葉で交わしていただろう。





決めたのだ。





正面から彼と向き合う、と。





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