最果ての月に吠える
まだ雪の残る屋上から眼下に広がるベッドタウンへ降り注ぐ天使の梯子(ハシゴ)は、何を空に連れていくのだろう。





いつかこんな私にも迎えが来るだろうか。





「そのまま飛んでいきそうだよ。リューネ」





思わず吹き出した。





詩人でもそんなことは言わないだろう。





「大江先輩、私に羽なんてないよ。あったとしてもボロボロの腐りかけだよ」





もたれるフェンスに背を預ける。





慎重に私の足跡を裸足で辿る彼は笑っていた。





「羽なんてなくても飛べるさ」





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