最果ての月に吠える
「大江君、こんなところにいたのね」





屋上の入り口に立つ女性が安っぽいオレのサンダルを投げた。





「裸足なんだから外に出歩いてはダメよ」





「裸足じゃなくても外出しないさ」





トモエは困った顔をして笑うのが可愛い。





だからオレはトモエの笑顔が見たいんだ。





「トモエ。動物園に行きたいよ」





だからオレはトモエを困らせたいんだ。





「わかったから、今日は部屋に帰ろう?」





わかっているよ。





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