最果ての月に吠える
オレがここから出てはいけない理由、





トモエがオレを見張っている理由、





オレ達が一緒にいられない理由。





「わかっているよ」





もう13年も見ているからわかるんだ。





顔の笑い皺も白衣の奥から漂うトモエの香りも出逢った頃と変わらない。





溢れ出る慈愛の微笑みがオレを苦しめて止まない。





「わかっているよ」





もう一度呟いてオレはトモエの横を通り過ぎた。





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