最果ての月に吠える
「忘れないよ。産まれてからずっと忘れたことがない。誕生の瞬間だって憶えている。それまでも嫌悪感はあったけどあれほどの嫌悪感は今までないよ。この世は地獄だと思えた」





もうこの話をするのは39回目だよ。





そう思ったが楽しそうに聞いてるリューネの笑顔が嬉しかった。





「直接見たいと思う?」





動物園には一度だけ行ったことがある。





だけど一度だけだ。





「オレはこの大学から出ていけない。ただそれだけだよ」





ロングの黒髪、薄い茶色の瞳にきらきらの唇を噛む。





< 34 / 174 >

この作品をシェア

pagetop