最果ての月に吠える
理想と現実の差なんて埋まるわけがないのだ。





その境目で僕らは喘(アエ)ぎ苦しんでいる。





誰からも救われることはなく、誰も答えを差し出せない。





それでも僕は働いている。





毎日、飽きたとしても、ただ働いている。





抗(アラガ)うこともできずに社会という理不尽な世界の中で消費されていく。





そんなありふれた日常を繰り返している。





それなりの恋人を作って、ありきたりの結婚式を挙げて、二人ぐらいの子供を育てながら、





その将来を楽しみに老後を過ごして、家族に囲まれて死んでいく。





刺激のない平坦な人生を望んでいるわけではないけれど、越えようのない壁に突き当たるよりはいい。





きっと僕は乗り越える努力もできないから。





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