最果ての月に吠える
僕らは不規則に並ぶ林間を泳ぐ魚のように駆け下りた。





ケータイの向こう側にいるはずのカズネは、電源が切れたアナウンスを繰り返す。





「出ないの?」





ブーツのヒールを斜面に埋めて走ったリューネが息も乱さずに言った。





「電源を切ってるみたいだ」





鳥類舎の裏側に辿り着いた僕らは注意深く歩道を眺めた。





月明かりに照らされて浮かび上がる夜の動物園は異様な冷気に包まれて心すら震えてしまいそうだった。





リューネは小刻みに震える体を両手で抱き締めていた。





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