最果ての月に吠える
落日の地平線を瞳に反射させ、夜明けを待ち侘びるのだろうか。





東京の動物園に住む彼らの瞳は、今も赤い。





「赤……」





僕らの立てた計画はこうだった。





警備員の巡回終了の時間になったら人目に付かない森林のフェンスに穴を開ける。





そこから南東にある管理棟まで監視カメラの死角を移動する。





管理棟に到着したら配電盤のブレーカーを全て落とし蓋を閉め鍵穴を潰し近くの茂みに発煙筒を投げる。





慌てて警備員が出てきた隙に獣舎の鍵のスペアを盗み出す。





そして獣舎を開け放ちながら僕らの侵入口に戻り、森林に火を放つ。





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