最果ての月に吠える
ライオン舎の前の道に真っ直ぐ行くと事務局があって、その奥に従業員用の出入口がある。





そこで待ち合わせだ。





そう言っていたヒカルの到着は遅かった。





出入口の鍵も閉まっていた。





私は途方に暮れたがとりあえず近くの茂みに身を隠し、コートの中に抱いたペンギンを地面に立たせた。





彼は小さく円らな瞳をきょろきょろしながらおとなしくしていた。





「リューネ!」





大きな音を立てないようにヒカルは静かに近寄り、少しだけ驚くとペンギンの頭を撫でた。





「遅すぎるから連れてきちゃった」





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