最果ての月に吠える
ペンギンはヒカルの足元ではばたこうとしていた。





「動くなよ。キディがいる」





彼女の視線の先には、身を低くして静かに足を運ぶ黄金のたてがみを持ったライオンがいた。





けれど彼女は臆することなく少しずつ間合いを詰めていった。





「まるで、天の火を盗んだウサギの光景だね」





彼女の背後でヒカルが、早く出ていけ、と合図する。





ペンギンのことも事態の顛末も気になるが、私は仕方なく出入口から出ていった。





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