最果ての月に吠える
「わかりました。いいですよ。何か急用ですか?」





この動物園では一つの動物に複数の飼育員が交替で管理をしている。





突然の用事でもない限り担当以外の仕事を頼まれることはなかった。





「ちょっと実家に帰ることになってね」





そう言って微笑んだ。





口角だけが上がる歪(イビツ)な笑顔だった。






照れ隠しのような彼の表情を見ながら、いつかこんな顔を僕もするのだろうかと考えていた。





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