最果ての月に吠える
その日の夕暮れ。





ライオンの放飼場を見つめる少女が再び立っていた。





昨日と同じ場所で、誰もいない小さなサバンナに瞬きもしない淡い茶色の瞳を向けている。





閉園のアナウンスも彼女の世界には届かない。





僕も見たことはないあの乾ききった広大な平原で、地平線に沈みゆく夕日を惜別(セキベツ)の思いで見ているんだろうか。





彼女は彼方の大地に降り立ったことがあるのだろうか。





ライオンの群れと一緒に、赤く染まる太陽の地表へのダイブを見守っていたんだろうか。





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