最果ての月に吠える
「………飛び降りた」





どうして彼は飛びたいと思ったのだろう。





屋上から、あの窓から、彼は空を見上げていたのだろう。





その錫色の雲が流れる真っ青な空へと落ちてみたかったのだろうか。





「今どこ? すぐ行くよ」





聞いてみたいと思った。





空に帰っていく感覚がどんなモノだったのか。





自由になれたのか。






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