最果ての月に吠える
前髪が瞼に影を落としている。





「ただ、空を飛びたいと思った。空を飛んで行けるところまで行きたいって」





リューネは握る手に力を込めて溢れ出してしまう涙を堪えているようで、





「痛いよ。リューネ」





頷くだけで精一杯だった。





「飲み物、買ってくるよ」





泣きたいなら泣きなよ、そう思って僕は病室を出た。





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