最果ての月に吠える
初めて恋人ができた時を。





キスをするのでさえもどかしかったあの頃。





何度彼女に好きと言えたんだろう。





本当に好きだったのだ。





言葉にすれば粉々に砕けてしまうかと思うほど繊細な気持ちだったんだ。





「ヒカル、今日は帰って。大江先輩は私が何とかするから」





「でもどうやって連れていくんだ? 彼は足を骨折してるんだよ?」





「車ぐらいあるから。ヒカルの手は借りない」





「わかったよ。そこまで言うなら今回のことには手を出さないよ」





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