最果ての月に吠える
四角い世界に、月は見えない。





「大江先輩。―――行こう」





それが叶わない願いだとしても秘めたままでは何も変わらない。





「トモエさんに会いに行こう。私が連れていってあげるから」





どんな結果が待っていたとしても、私は彼の支えになろう。





友人として。





そして―――





「リューネ」





ベッドから差し出した彼の手を歩み寄り握った。





思っていたよりも大きなその手は、とても温かかった。





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