最果ての月に吠える
「大江先輩、大学までもうすぐだよ」
ヒカル。アナタの言っていたことがわかる気がするよ。
彼は全ての記憶を忘れないのに私達が持っているあの頃の思い出は記憶に存在しない。
12歳から大学の中に閉じ込められた彼には誰もが経験した、もどかしい想いの初恋という時間がない。
収監されたあの時のまま、身体だけが成長したコドモなのだ。
私達が今は失ってしまった眩しい時代に彼は生きている。
彼を見ていると微笑ましく思う反面、苛立ちも感じる。
淡く儚く過ぎっていった幼い青春時代に私達はもう戻れないから。
ヒカル。アナタの言っていたことがわかる気がするよ。
彼は全ての記憶を忘れないのに私達が持っているあの頃の思い出は記憶に存在しない。
12歳から大学の中に閉じ込められた彼には誰もが経験した、もどかしい想いの初恋という時間がない。
収監されたあの時のまま、身体だけが成長したコドモなのだ。
私達が今は失ってしまった眩しい時代に彼は生きている。
彼を見ていると微笑ましく思う反面、苛立ちも感じる。
淡く儚く過ぎっていった幼い青春時代に私達はもう戻れないから。