好きを贈るよ
下駄箱を通りどこに向かうでもなくとにかく走った。
廊下には沢山の人。
友達がいても挨拶もしないで走り過ぎる。
後で謝らなくてはならないなぁ、なんて思いながらわたしは全力で走った。
「あっ、」
そしてわたしはとうとうやってしまった。
沢山の人を避けながら走っていたのだから当たり前かもしれないけど。
誰かの足につまずいたのだ。
転ぶ!
わたしはそう思い目を固くつぶった。
しかし待っていた痛みはなかった。
あるのは今日のような寒い日に欲しかった温かさだった。
抱き留められたのだ。
わたしは驚き目を開け顔を上げる。
走っしたからなのか、この温かさのせいなのか、昨日フラれてむしゃくしゃしていたなんてとっくに忘れて目の前の人にわたしの心臓は高鳴る。
ああ、好きかも知れない。
女の子は惚れっぽいものなのだ。