好きを贈るよ
きみはせんせい
自分の教室に着いたと思ったら走り際に見た友達の春海がわたしに向かって来た。
表情は折角の美人が台無しなぐらい眉間に皺がよっていて怒っているのが安易にわかる。
「華奈子!さっき私を無視してどこ行ってたのよ!」
「ごめんなさい!むしゃくしゃして走ってました!」
「もう、華奈子はそう言う所あるよね。直した方がいいよ」
「はい、ごめんなさい」
春海は少し毒舌な所を除けばいい友だちでわたしの善き相談相手だ。
「で、彼氏と別れたんだってね」
「うん。まあ別にわたしも冷めてたしね。そんなに落ち込んでないかな」
「あれ?別れた悲しみから走って来たんじゃないの?」
「そうだったんけどね。わたし、彼氏のこともう好きではなかったんだなって走ってて思った」
そう、よくよく考えれば彼氏のことはもう好きではなかった。
もう落ち込んでいないのがその証拠だ。
今は新しく気になる人がいるからかも知れないが。