ねえ…微香性恋愛、しよ?
「ど、どういう意味?」

「こういう意味さ。」

翔はそう言いながら、胸ポケットから、ある物を取り出し私に見せた。それを見た瞬間、私は頭を、激しくハンマーで殴打された様な衝撃を覚えた。


-赤い匂い袋!-


「ま、ま、まさか、それって…」

今にも目玉が飛び出さんかと思われるほど、かっと目を見開いて、その袋を見つめながらわなわなと震える私をそのままに、翔は、新聞記事を読み上げ衝撃の告白をした。

「『…鑑識の結果、この変死体の男は、この屋敷の主、花田洋介(46)と判明…』


…こいつは、俺の親父だ!」

「そ、そんな…嘘、嘘よ!」

「本当だ。今の俺の両親は義理の親でね、おふくろが死んで俺は今の両親の養子になったのさ。
死んだお袋が、芸子時代にこの遊び人のジジイと関係を持って生まれたのが俺なんだ。
この記事に掲載されている屋敷の前には、小さい時に何度も連れて来られたからなあ。
おふくろは屋敷の前でぼーっと、俺の手を握り締めたまま突っ立ってるだけだった。
会ってはならない、あんたの父親がいるよ、って、つぶやきながらね。
だから、親父とは一度も面識はなかったけれど…」
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