意地悪てぃーちゃー
深呼吸を一つして、うちはゆっくり話し始めた。


離任する全員の先生の顔を見ながら、気持ちを込めて挨拶をした。


うちは挨拶の最後に、高橋ちゃんを見た。
高橋ちゃんは、今にも泣きそうな顔をしながら笑顔を浮かべていた。


そしてうちは、ゆっくり元の場所に戻った。
泣くのを我慢しながら…。

舞台上では何人かの先生は泣いていて、そのまま花束贈呈に移った。


うちは花束を持って、高橋ちゃんの前に立った。
司会の合図で、花束を渡した。


「ありがとうございました。」


それしか言えんかった。
それ以上言えば、泣いてまいそうでやった。


「心。ごめんな。挨拶最高やった。最後に握手して終わりにしよ。」


高橋ちゃんは手を出した。
うちも、手を出して固い握手をした。


高橋ちゃんの目には、涙が溜まっていた。


「高橋ちゃん。またね。」


うちはそれだけ言って、ステージから降りた。
ステージから降りると、井澤がこっちを見ていた。

口ぱくで、大丈夫かって聞いていた。
うちは笑顔で、それに頷いた。


そして、離任式は終わった。
うちは、高橋ちゃんの背中をずっと見ていた。

バイバイ…大好きやった。


視線を感じたのか、最後に高橋ちゃんが振り向いた。
涙を流しながら、笑顔を作っていた。

それに応えるように、うちも笑顔で返した。
< 17 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop