意地悪てぃーちゃー
「うわーますます顔真っ赤や。おもろいなぁ。


よっし。そろそろ帰るかぁ。」


井澤は手を離して、うちを立たせた。
うん…完璧うちで遊んでたよな。

井澤の意地悪な笑顔をみて、そう思った。


「んっ?どうしたー?」


「先生のバーカ。他の生徒にこんなんしたら、大変なコトなんで?もっと、教師ってコト自覚しなさい。」


うん・・・
他の人にして欲しくない。


「他の奴には絶対せぇへんわ。心は生徒とは思われへんからなぁ。自覚してるもん。」


「生徒やし。うちをなんやと思ってるんさ?」


「んっ?心はなんか犬っぽいな。うん…犬やな。」


犬?!
あの…ちょっと期待して損したやん。

その前に犬って…犬って…。


「なんで犬なん?先生、地味にヒドいやん。うち人間やで?」


「犬やな。しっぽ振って待ってる犬。おっし。心ちゃんはお勉強頑張らなアカンから、今日は帰りますよ~。」


井澤はうちの背中を押して、指導室から出した。


「ほれっ。勉強頑張りなさい。んじゃぁまた明日な。」


「はーい。ありがとうございましたー。先生バイバイ。」


「気をつけて帰れよー。」


うちはそのまま井澤に手を振って家に帰った。

ただただうちの中には


未だに井澤の温もりが残っていた。
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