意地悪てぃーちゃー
静かな車内にうっすら聞こえる、荒木の声と女子の声。
この声、めっちゃ聞き覚えあんねんけど…。


まさか・・・


俺は後ろを見ると、荒木と心が話していた。
しばらくすると、荒木は俺に気付いたんか戻ってきた。

それでも俺はまだ、心の姿を見ていた。
あぁ~高橋のこと考えてんのか。

思いっきり頭を振る心の姿を見て、そう思った。

俺は心を見るのをやめて、元の体勢に戻った。
荒木が隣でニヤニヤしながら、話掛けて来た。


「北沢って、俺のこと嫌ってるんですかね?」


「知らんがな。嫌ってないんちゃう?」


俺に聞くなっちゅうねん。
でも、荒木の顔は真剣な表情を浮かべていた。


「俺の授業、ずっと寝てるんですよ。それに、成績も前の先生の時より落ちてるんですけど…。」


「はっ?それ本間?それ荒木ちゃんは悪ないわ。心には俺から言うとく。ごめんなぁ。」


やっぱり・・・。
まだまだ時間が掛かるかぁ。


「北沢と井澤先生って、やっぱなんかあります?ってか、井澤先生好きでしょ?」


「何にもありませーん。生徒はみんな好きやで。それにアイツには忘れられん奴が居るからな。」


高橋のことが頭に浮かんでた。
ってか、俺は心のこと好きなんか?
そんな態度なんか?

いやいやいや・・・
心は大事な生徒。
可愛い可愛い大事な生徒。


「へぇ。詳しいっすね。あっ。ボケっとしてたら、井澤先生の大事な北沢すぐ盗られますよ?」


荒木はニヤニヤして、意味深な発言をした。
絶対、楽しんでるよな。


「俺をおもちゃにすな。心は俺のやもん。嫁には出さん!!」


荒木はそれに爆笑しながら、眠りについていった。
俺も寝よう。

そうして、俺も深い深い眠りに入った。
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