華と蜂蜜
プロローグ
[レ……キ…ハ…ベツ…ダ…ラ…]

掠れた記憶の中で声がする。
その記憶を思い出そうとすると、ノイズが入ってしまってよく見えない。
例えるなら、チャンネルが合わないテレビのようだ。

…とても大事な記憶なのに、そこだけ穴が開いたように分からない。
でも、一つだけ分かることがある。

“自分はトクベツ”

その為に自分の身を護らなくてはいけないことも分かっていた。
それ以上は思い出そうとすると、やはりノイズが入ってしまう。

この記憶はいつのだろうか?

―オモイダシテハイケナイ

この声は誰?

―キヅイテハイケナイ

何故、いけない?

―ソレハ

        モウスグ
                  ワカルカラ―

目の前が暗くなってゆく。
体が闇に沈んでゆく。

「私にも、もうすぐ、分かる…?」

意識が、途絶えた。



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