依存偏愛
「……最近、ケータイばかり気にしとるのう。しかも、そんな難しい顔しよって。」
部室中央に置かれた机に突っ伏しながら、顔だけ上げて携帯を見つめていたあたしの眉間を指差し、椎名は独り言のようにそう零す。
でも、そんなのは余計なお世話だ。
あたしがどんな顔をしてようが勝手だし、誰にも迷惑なんてかけてない。
そんな意を込めて向かい側に座る椎名に視線を向ければ、今度は違う声が鼓膜を揺らす。
「ははっ。もしかして片倉、彼氏でもできたのかよ?」
「黙れ、蒼井。」
何が彼氏だ、バカバカしい。
そんなことより、あたしはただ、雫が心配なだけなのに。
脳天気な蒼井の笑顔が、今は何だか無性にムカついて、イラつきを吐き出すように大きくため息をついた。
刹那、いつからかあたしに向けられていた椎名の視線が、再びあたしと絡む。
まためんどくさくなりそうな気がして、すぐにそらそうとしたけれど、それより早く椎名が口を開いた。
「…――会いに行けば、いいじゃろ?」
だけどあまりにも唐突で、一瞬意味がわからなかった言葉に、自然と眉が寄る。