依存偏愛
あたしの言葉に、散々騒いでいた蒼井さえも黙り、嫌な沈黙が部室内に漂い始める。
相変わらずそらされない視線は何かを訴えているようだったけど、今度ばかりは本気で無視してやった。
刹那、そんな雰囲気を壊すかのようにかちゃりと響いたドアの開閉音。この場にはそぐわない柔和な笑顔の結城が上森と田原を引き連れて室内に入って来て、空いていた席に座る。
「悪い。待たせたね。顧問の話が長い上に、晴也がなかなか出て来なくて。」
「…っ! だからスミマセンって!中等部の方も今時期は色々忙しいんスよ。」
「ああ。それは俺も明人もわかってる。だから別に、責めたりはしてないだろう?」
「…はい。スミマセン…。」
別に、2年の先輩方が遅れた理由も、田原が忙しいとかどうとかいう理由も、あたしはどうでもいいのだけど。
わざわざ練習前に、こうやって集まってミーティングを開くくらいだ。何か、連絡事項があるのだろう。
しゅんとうなだれた田原を横目で見つつ、ようやく本題を話し始めた結城の声に耳を傾けた。