依存偏愛

「実は来月、星南との合同練習が決まったんだ。結構、急な決定だったんだけど。」


…――星南との合同練習?


「ほら。今年の合宿は、宿舎の都合で1泊しかできなかっただろ?それを補うっていう名目で、来月。宿泊はしないけど、いつもの宿舎に繋がる体育館で。」


雫と、また一緒に……

さっきの椎名との会話の中で、雫と会うのは気まずいとか思ったのは確か。

だけどこうやってまた、しかも前回とそんなにスパンも空けずにちゃんとした場がセッティングされて雫に会えるなんて、夢にも思わなかった。

だってどうせ、次にこういう場が設けられるのは、夏休みに入ってからだと思ってたし。


「……本当?」

「ああ、本当だよ。良かったね。」


何が良かったのかは知らないけれど、結城がそう言って笑うのを見て、自然とあたしの頬も緩む。

…――雫に、会える。

会えたならその時、ちゃんと説明しよう。変な誤解や不安を抱かないようにって、直接。サクとのことも、きっと雫ならわかってくれる。

必然的に会うしかないその状況でなら、しっかり雫と向き合える気がした。
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