依存偏愛
今日はこの一発で気が済んだのか、準備室から出ていく、畑島さんを含めた4人の後ろ姿を見つめる。
この人達はただ、大谷くんが気になるだけなんだと、名目上彼女の私に、嫉妬しているだけなのだと、わかっているけど。
怖じけづいて、過去のトラウマがまた現実になるのを恐れて、何も言い返せない自分が忌ま忌ましい。
情けなくて、どうしようもなくて。
未だじんじんと痛む頬に触れ、ただ唇を噛み締める。
…――あああ、最悪だ。
◆◆◆
最悪なことは、どうも立て続けに起こるらしい。あの後、残った片付け等をひとりで終え、急いで帰ろうとしたのにこのザマだ。
確か今朝の天気予報では、雨になるだなんて一言も言っていなかったはずなのに。第一、さっきまでは晴れてた。雨音さえ、しなかった。
どんよりとした厚い雲に覆われて見えない青空、そこから搾り出される水の粒が強く地面にたたき付けられている。
私が帰る時間帯を見計らってでもいたのかと、不思議に思うほどにタイミングがいい。
傘なんて、持ってきて無いのにな。
人だけじゃなく、天気までもが私に嫌がらせをするんだね。
…――全く、本当にイヤになる。