依存偏愛

必然的に、私の足も止まる。
いきなりどうしたのかと見上げた先、暗くて良く、大谷くんの顔は見えなかった。


「…――ひとつ、聞いてもいいいですか?」

「……何?」


雨は、ますます酷くなっていく。
雨音に掻き消されないよう、慎重に大谷くんの言葉に耳を傾ける。


「笹川先輩、本当にオレのことを好きですか?」


けれど紡がれた言葉に、一瞬にして頭が真っ白になった。聞き間違いだと思いたかった。


「何、言ってるの?好きだから告白して、付き合ってるんでしょう……?」


引き攣った笑みで紡いだ答えは、情けないほど震えた。それがどうしてかなんて、明白で。見えないはずの大谷くんの顔が、哀しそうに歪んだように見えた。


「……嘘はもう、やめにしましょう。
本当はオレ、最初から気づいてたんです。笹川先輩がオレのこと、好きでも何でもないことくらい。」


最初から、気づいてた……?


「わかってたんです。あの合宿の日から、笹川先輩の態度が変だってことも。笹川先輩にとって大切なのは、旭先輩だけだってことも。」


何を、言っているの……?
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