依存偏愛

しかも、私が旭ちゃんに知られたくないことは、ひとつではないのだ。


「ねー。いつ、大谷くんと別れてくれんのかなー?」


止まらない、いじめ。
毎日毎日、呼出しというよりも、半強制的に人気のない場所へと連行されて。

万が一痣ができたとしても、制服で見えない場所に何気なく繰り出される暴力。


「いい加減、別れてくんないかな。超目障りなんだよね。」


私を、何だと思ってるんだろう。

何でそんな理不尽な理由で、殴られたりしなきゃいけないの。
何で私が、この人達のストレスのはけ口にならなきゃいけないの。


「だいたい、アンタなんかより茜の方がよっぽど、」

「もう、別れたよ。たぶん。」


もう、散々だった。
こんな私も、それを取り囲む環境も。

例の3人のうち1人が話す言葉を遮り、口から飛び出した言葉は思いも寄らない内容だったけれど。

あまりにもすんなりと言い切った言葉に、畑島さんを含む4人だけじゃなく、私自身も驚いた。
< 121 / 212 >

この作品をシェア

pagetop