依存偏愛

どうして、こんな気持ちになるのだろう。
何で、胸は痛むのだろう。

しかもこの痛みは、あの日大谷くんに大キライだと言い放った時に感じた胸の痛みと、まるで同じじゃないか。


「…っ、だからもう、いいでしょ?」


良くわからない感情が、押し寄せる。困惑が身体を支配した気がした。

行き場の無い気持ちをどうすることもできなくて、罵倒を止めた4人に背を向け走り出す。

背後でチャイムが鳴ったのを、気にする余裕さえなかった。そもそも、今から授業を受ける気力も意欲だってない。

…――ただ、ただ、苦しくなって。

急いで教室に戻る人達とは逆方向に、全力で走る。理解できない気持ちに、もやもやする感情。訳がわからないまま溢れ出した涙が、走っているせいか横へなびくように流れていく。

……今日、彼女達に連れ込まれていたのが2階の資料室で良かった。そのおかげで、先生に遭遇することはなく学校を出られる。

特に行くあてなんか無いけれど、今日はもう、誰にも会いたくない。例え旭ちゃんだとしても、声だって聞く気にはなれなかった。
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