依存偏愛
「…、何、で……?」
「休み時間に大城先輩から、いきなりメールが来たんです。怪しい女子に笹川先輩が連れていかれたから、彼氏なら助けてやれって。」
…――全く、余計なことを。
似非関西弁の彼のことを思い出し、思わず顔をしかめてしまった。けれどそんな私の態度を気にする訳でもなく、大谷くんは続ける。
「でも、どこに連れていかれたとか、わかんないじゃないですか。だからまず外周りを探して、居なかったので高等部の中に行ってみようと思ったんです。その途中で、飛び出して来る笹川先輩を見つけて……」
そして、今に至るってことだね。
半端に流れる涙を手の甲で拭いながら大谷くんを見上げれば、哀しそうな瞳が私を見下ろしていた。
だけど、それにしても、だ。
「…………大谷くんは、まだ、私の彼氏、なの?」
大城くんに、彼氏なら助けろと言われて、私を探してくれた。
あんな酷い言葉を吐いて、優しい大谷くんの気持ちを踏みにじった、私だというのに。