依存偏愛

黙って反応をしないでいれば、椎名は何も気にする様子もなく、言葉を続けた。


「しかも、また携帯握っちょる。おまん、この1週間、ずっとこの調子じゃなか?」


うるさい。うるさいうるさい。
この前、はっきり拒絶したはずなのに。
あたしは嫌いだと、面と向かって言ってやったのに。


「携帯握っちょるだけじゃ、連絡なんてこないぜよ。」

「……るさい。」

「それに、そんなに連絡こないっちゅうのも変ぜ。……おまんらの絆っちゅーのも、所詮この程度だったんじゃな。」

「うるさいっ!」


どうして椎名なんかに、そんなことを言われなきゃならないの。関係ないクセに。何も知らないクセに。


「……おまんとは違って、笹川は絆なんてどうでもいいんじゃなか?今頃、双子より大切な彼氏でも作ってるんじゃろ。」


雫は、そんな子じゃない。
あたしとの誓いを、軽視なんてする訳無い。

全ては椎名の戯言だと、信じてはいなかったけど。どうしても今、雫に会わなきゃいけない気がしてきて、あたしは椎名を無視して屋上を飛び出した。
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