依存偏愛

電車に揺られること1時間くらい。
ようやく目的の駅に到着し、後ろを気にすることなくあたしは走る。当然、背後から足音はついて来たけれど。

駅から星南学園はそんなに距離はない。
ほどなくして差し掛かった学園前通り、左手に星南学園を捉えながらあたしは足を止めた。


「……いつまで、ついて来る気?」

「さぁ?決めちょらん。」

「…んじゃ、ここで終わり。これ以上ついて来るな。」

「そう言いなさんな。」


振り向くことなくそんな会話を交わせば、椎名は失笑を零す。でも構うことなく足を踏み出そうとした刹那、再びあたしの足は止まった。


「……何ぜ。この時間帯男女で堂々とサボれるっちゅうがは、星南の先生も甘いのう。」


それというのも、椎名がぽつりとそんな言葉を呟き、自身の目に校門から出てきた男女の姿が映ったからだ。

その男女の手は強く繋がれ、どちらかと言えば男が女を引っ張っているように見えた。
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