依存偏愛
「い、や……、」
椎名の言葉に、頭が真っ白になっていく。
あたしは裏切られた。
この世で1番、誰よりも信頼していた人に。
「だから、言ったがやき。おまんほど、笹川は誓いを大切に思っちょらんち。」
違う違う違う。
あたし達の誓いは、そんな軽いものじゃない。それは雫が1番、わかってる。
「やっぱり、そんなもんだったんぜよ。おまんらの絆も。」
…――やめて。
それ以上、言わないで。
でも、覆そうにも覆せない現実が今目の前にある。雫は確かにサクと一緒にどこかへ行った。固く強く、しっかり手を取り合っていた。
椎名の言う通り、あたしだけ、だったの?
あたしだけが、誓いと絆を固く信じていたの?
雫はあの日から、どうでもいいと思ってた?
わからない、雫が。
わからない、全てが。
ただひとつ確かなのは、雫があたしから離れたことだけ。
あたしは雫に、この世で最も信頼する双子に、裏切られたんだ。
まるで、真っ暗な闇にひとり放り出されたような感覚だった。暗くて何も見えない中、ひとりもがいて彷徨う。引き上げてくれる人など、いやしないのに。
…――あああ。
あたしには雫しかいないんだ。
だから、ねえ。助けてよ、雫。
【CHAPTER:06/side*ASAHI/END】