依存偏愛
「でも、ひとつだけ教えてください。
――何で“大キライ”なオレに、告白したんですか?」
何で、か……。
でもそれを言うなら、何で大谷くんは、自分を“大キライ”だとわかっている私と付き合ったの?
何も知らないで付き合ったのならわかるけど、知っていたなら、何故。
まぁそれを棚に上げたとしても、私の抱えている本当の理由を彼に言えるのだろうか……否、言えない。
旭ちゃんを大谷くんに取られそうだから、なんて理由、言えるはずが無い。
「…――ねえ、大谷くん。」
ゆっくりと顔を上げれば、映ったのは相変わらず眉を下げている大谷くんの表情。そのわりにしっかりと私に向けられる瞳を見つめ返し、私は言葉を紡ぐ。
「私は、大谷くんが誰よりも優しいってこと、中等部の頃から知ってた。知ってたからこそ、告白したの。だから大谷くんは、その優しさを利用しようとした私を嫌っていいよ。っていうか、軽蔑すべきだよ。」
核心は、伏せた。
でもこれが、事実。
軽蔑されても、文句は言えない。