依存偏愛
だけど、今の私の言葉にはあまりピンとこなかったらしく、大谷くんは怪訝そうに首を傾げた。
「……あまりよく、意味がわかんないんですけど。」
「わかんなくてもいいの。私が、わがままで勝手だっただけ。」
そう強く言い放てば、より一層、大谷くんの眉間のシワは深くなったけれど。私と旭ちゃんの関係に、他人の理解は求めない。理解は、しなくてもいい。
「でもね大谷くん。ひとつだけ、教えてあげるね。」
「……何、ですか?」
「私はね、人を好きになっちゃいけないの。旭ちゃんと2人で生きるって、他には誰も信じないって、そう誓ったから。」
「…、旭先輩と……?」
「うん、そう。」
一度、たとえ偽りの恋心だったとしても、付き合っておいて今さら何を言ってるんだと言われても仕方ない。
つい数十分前に、気付いた本当の恋心を押し殺すのが、正しいことなのかもわからない。
でも淡々と、まるで機械のように冷静に、私の口はそう紡ぎ出していた。きっと、動揺していたのは私より、私の話を黙って聞いていた大谷くんの方に違いない。