依存偏愛
「そう、ですか。」
そう小さく呟いた大谷くんは、そこで視線をガラス張りの窓の外へと投げた。
再び、ファミレス内の喧騒に支配される聴覚。時折訪れる喧騒の狭間に耳へ届く音楽に、店内にはBGMがかかっていたのかと、今さらながら気が付いた。
と同時に、大谷くんの視線が再び私へと向けられる。何かを決意したかのような強い視線に、ドキリ、と胸が強く脈を打つ。
「……笹川先輩。今オレ、ちょっと思ったんですけど。」
「、何?」
「はい。……笹川先輩の支えになるのは、旭先輩じゃなきゃ、本当にダメですか?」
「……え?」
「オレじゃ、ダメですか?」
…――何を、言っているんだろう彼は。
オレじゃダメですか?って、それは一体、どういう意味で?
大谷くんの言葉を咀嚼するのに、時間はたっぷり2分くらいはかかった。
未だにハッキリとした真意が掴めず、相変わらず真剣な大谷くんの瞳を見つめ返す。すると彼は、優しく小さな笑みを零した。