依存偏愛
「冗談、言わないで。」
「冗談なんて、今わざわざ言う訳無いじゃないですか。」
「でも私、人を好きになっちゃいけないって、さっき言ったでしょ。」
「オレを好きになってほしいとは、言ってません。」
……じゃあ、何。
好きじゃなくてもいいから、また付き合おうってことなの?それじゃあ、前の私の告白と大差ない。
「……意味、わかんないよ。」
「意味はわからなくてもいいって、そう言ったのは雫先輩です。」
そう言い放たれた言葉に、確かにそう言ったのは自分だと、思わず言葉に詰まる。
それを改めて人から言われて初めて、私が言ったことがいかに理不尽であったか思い知らされた。
それに加え、“雫”先輩、だなんて……
あまりにも自然に他人から紡がれた自身の名前に、またドキドキと強く、鼓動が刻まれる。
…――大谷くんが、好き。
それは間違いの無い事実で、改めてされた告白が嬉しくない訳無いのだけれど。
誓いが足枷になって、足掻けば足掻くほど、一向に前に進めなくなった。自分の気持ちが、わからない。
【CHAPTER:07/side*SHIZUKU/END】