依存偏愛

「……何。椎名はそんなにも、あたし達の関係を壊したいわけ?」


切っても切れないはずの、あたしと雫の絆。
それなのに今は、こんなにも関係に亀裂が生じてる。

それもこれも、椎名があたしの気持ちを揺さぶるからだ。雫がどうのこうのじゃない。全部、椎名のせい。あたしも雫も、悪くない。

そうは思うのに、悔しさや悲しさなど、様々なたくさんの気持ちが交錯して、もう、本気で泣きそうになる。そんなあたしを尻目に、椎名は構わず口を開いた。


「俺が“壊したい”と思っとるわけじゃのうて、もうすでに“壊れかけてる”んじゃなか?」

「何が、」

「気づいとる、クセに。」


冷たくそう言い放つ椎名に、あたしは何も、言い返せなかった。


「何があったか詳しくは知らんが、あの合宿の日から、おまんらは少しずつズレ始めとる。……違うんか?」


なぜなら、確かにそれが、事実だったから。

あたしはただ、気づかないフリをしていた。
……否、気づきたくなかったからこそ、気づいた上で事実を覆い隠そうとしていたのかもしれない。
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