依存偏愛

「あればぁのことで壊れていくいうんは、結局、おまんらの絆っちゅうんも、たいしたことなかったっちゅうことぜよ。」


…――同じようなこと、前にも言われた気がするんだけど。

毎度毎度あたしに同じことを言って、必要以上あたし達の関係に踏み込んで来る椎名が、今はいつも以上にイラついた。
言っていることはきっと正しいから、なおさらに。

だけど一体、何様のつもりで他人のプライベートに干渉してくるの。何で他人のあんたに、あたしがそうまで言われなきゃならないの。

そう、思うことはたくさんあるのに、何一つ言い返せない。ただぐるぐると巡るだけの思考に、だんだん訳がわからなくなって。ズキン、と頭に鈍い痛みが走る。気持ち悪い。吐きそうだ。

それでもそんな中、あたしが思うことはたったひとつだけだった。
あたしと雫は、バラバラになってはいけなかったのだと、その後悔だけがハッキリ、胸を満たす。

やっぱり、一緒に居るべきだったんだ、ずっと。あの時、雫が何と言おうと、あたしは星南に残るべきだった。離れるべきではなかった。

戻せない時間が、恨めしい。
軽率に決断を下したあの日の自分自身が、許せない。
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