依存偏愛
…――何であたしは、この練習に参加してしまったんだろう。
ドリンクボトルに冷水を注いでいたら、ふとそんな疑問が頭を過ぎった。
でも、本当に。
雫に会いたいと思っていなかった以上、あたしがこの練習に参加する意味なんて無いに等しかったのだ。というか、来る意味なんて無かった。
何か適当に理由をつけて、休むことだってできた。むしろ、そうすべきだった。
ここに来さえしなければ、今こんなに悩んだり気疲れしたり、雫を避けて過ごすなんてこと、しなくて済んだのに。
まぁ、それが単なる逃げでしか無いことも、雫との絆を保ちたいのならば、いずれ向き合わなければいけないことも、わかっているけれど。
「……何こんなところでボケッとしてやがんだ、お前は。」
刹那、不意に背後から聞こえた低い声に、はっとして我にかえる。声の主が誰であるかはだいたい予想がつくので、流れ続けていた水を止めた後、ゆっくりと振り向いた。