依存偏愛
「……こうする。」
もし、椎名くんが旭ちゃんを好きだと言ったなら。
奪われる前に、奪ってしまえばいい。
旭ちゃんを他人にとられるくらいなら、私は何だってできる。
押し付けた唇から感じるのは、罪悪感に満ちた想いだけ。大谷くんの気持ちを裏切り、旭ちゃんとの絆を汚して、自分自身の気持ちさえ居場所をなくした。
一瞬の出来事をさすがの椎名くんも予測できなかったらしく、慌てたように私の肩を押し返す。
「……何のつもりぜよ。」
鋭い瞳が、怒ったように私を射抜く。
だけどこれで、怯むわけにはいかない。もう、後戻りはできない。