依存偏愛
「旭ちゃんは私のだよ。誰にも渡さない。」
でもそう言い放った私を見て、椎名くんは何かを理解したかのように、口角をつり上げた。
「…そうやって、大谷のことも旭から離そうとしたんか?」
「…、え?」
「え?じゃないき。自分のしてることを棚に上げて、旭のことは縛り付けるなんて、見かけによらずいい根性をしちょるのう。」
何を、言っているんだろう。
椎名くんは、全部知っているの?
じゃあ、旭ちゃんは……?
「旭ちゃんも、知って……?」
さっきとは違う意味で募る不安。
どきどきと煩く鳴る胸に手をあて、切実に問いかければ、返ってきたのは私がもっとも恐れていた答えだった。
「知っとるよ、もちろん。この前、おまんと大谷が手を繋いで学校をサボっとったのを、偶然見かけたき。」
旭ちゃんが、知っていた。
それが今日の旭ちゃんの態度の原因なのだと察するまで、時間はかからなかった。