依存偏愛
「…じゃけぇ、旭を傷付けとるんは、他でもないおまんぜよ。」
椎名くんの言葉が、まるで刃物のように胸に突き刺さる。的を得すぎているそれが、痛いくらいに気持ちを掻き乱す。
もう、何も言い返すことなんてできなかった。旭ちゃんを縛り付けて、傷つけているのは私。それが間違いのない、事実だと思うから。
「最後にひとつだけ言っとくき。
俺は旭が好きぜよ。たとえおまんが何と言おうが、どんな手段で邪魔しようがな。」
それだけを言い残し、静かに中庭を出ていく椎名くんの背中を黙って見送る。
哀しくてつらくて悔しくて、そしてどうしようもできないほどの罪悪感で、視界が歪む。
「……あーちゃん、」
流れる涙を拭うこともないまま紡いだ大切な人の名前に、案の定、答える声は聞こえなかった。
【CHAPTER:08/side*SHIZUKU/END】