依存偏愛
「……早く言えよ。」
「あー、わりぃわりぃ。屋上で待ってるって言ってたぜ。」
「ふぅん。」
屋上で、一体何を話すというのか。
今さら、結城と話すことなんてない。
きっとどうせ、あたしと雫のことに関して言及されるだけだと、予想はつくし。
それでも行かなきゃ行かないでまたしつこいだろうから、見ていた記録を閉じて、騒々しい部室をあとにした。
◆◆◆
屋上の重いドアを開けば、眼前に広がる青い空。柔らかそうな雲が浮かぶ空を見上げて、フェンスに寄り掛かる結城の姿をすぐに見つけた。
「遅かったね。」
それは、蒼井の伝言が遅いから。
そうは思いつつ無言で結城の隣に腰掛ければ、彼は控えめに、呆れたように小さく笑った。