依存偏愛
テーブルに置かれたグラスの中で、からんと涼しげな音が鳴る。
「何で、言ってくれなかったの。」
「うん、えっと。…私が自分で、原因作っちゃったことだから。」
私が、大谷くんに近づかなければ、とりあえずいじめはなかっただろう。そう思うからこそ、旭ちゃんには言えなかった。
微妙な雰囲気のまま、沈黙だけが広がっていく。グラス側面の水滴が、音もなくテーブルに落ちた。
……それにしても旭ちゃん、本当はこんな話をするために私を呼んだ訳ではないはずなのに。
気まずい関係だった私を心配してくれる旭ちゃんは、やっぱり優しい。
私なんてもう、旭ちゃんに嫌われたって仕方ないのに。